空上から１エーカーの森が見える。森の真ん中には我が家があり、それを取り囲む庭には多種にわたる野生の植物や動物が生息している。
ここに引っ越してからかれこれ１１年にもなる。
落胆する出来事もたくさんあったが、その都度自然の偉大さに慰められてきたように感じている。ちっぽけな自分という存在のそのまたちっぽけな悩みを自然が全て吸収してくれたに違いない。自然に抱きかかえられて胸のつかえがみるみるうちに溶けていくのを感じるのはきっと私だけではない。
このように美しい自然の中で（自分ができる）素朴な暮らしを営んでいると私はなんとも言えない平穏を感じる。その平穏がなんであるか、またなぜそう感じるのかははっきりとは断言できないが、感覚的に理解してきたように思える。かといって生きていて問題が全くないわけではなく、むしろ問題の山に埋もれているといったほうが正しい。それでも不思議なことに平穏を感じることができる。それは自然のお蔭だと確信して止まない。
こんな風に、ここでどんな風に生きて、そしてどんな風なことを思ってきたか、読者のみなさんと分かち合いたいと願うばかりなり。
