バラの花びらに降りてきてくれた小さな雫を眺めていると
自然の不思議さに感動する。
雫は透明でガラスのように映る。
ただの水滴であるのに真珠のようにも見える。
小さく壊れやすい。
そんな繊細でもろいものの中に一瞬の美しさを感じる。
雫はいずれ消えてしまうもので
その時が来るとなぜか悲しい。
それはバラの花びらが涙を流しているように見えるからなのか。
バラの花びらは悲しい物語を語っているのだ。
哀愁はひとえに美しい。
この一瞬の美の中に心を深く突き刺す叡智が存在しているかのようだ。
忙しさの中で気にも止められず埋もれてしまいそうな事象が自然の中には多くある。
特に小さな美しいものの中には心を洗い穏やかにするものが存在していると思う。
何も考えずにそれをただ見つめることによって心は静かになり穏やかさに包まれていくのだ。
そんな時にわたしは神の存在を確信する。
自分は忘れられた存在ではなく慈しみ愛されている存在だと。
そんなときは誰に言われなくとも「ありがとう」という言葉が口からこぼれてくる。
そして無性に幸福感に満たされるである。