家の前にある木。
誰が植えたわけでもない。
いつの間にかここに根を下ろして成長してしまった。
なんの木だろうか。
ウィンターベリーの一種のよう。
おそらくある鳥が種を落としていったに違いない。
そういうひょっこり顔を出す植物がここには多い。
実はとても苦いので人間の食用には向かない。
だからこれはただの観賞用。
でも鳥にとっては大切な食料源。
だんだん気温を落ちてきて
食べるものも無くなってきても
この実だけはまだ残っている。
この実だけが冬に突入するギリギリ前まで彼らに提供できるもの。
実が最初に消えて
それと同時に葉っぱが落ちる。
だんだん秋が深まってきてもこの木だけは
葉っぱが緑のままで地面に落ちる。
落ちてから黄色に変わる。
そして裸になった枝に純白の花嫁衣装が着せられる時が来る。
悲しい風景だ。
最近とても心が重くなることがあった。
そのせいか自然に足が外に向いてしまう。
キノコを採り、
地面を踏みしめる足音に耳を澄ませながら
変わっていく森を眺める。
秋と冬の美しさは
悲しい。
悲しいものは美しい。
悲しい音楽も美しい。
悲しい絵画も美しい。
今朝の朝露も悲しい。
だから美しい。
悲しさには美がある。
情緒がある。
それなら悲しさにも価値があるかもしれない。
全ての現象には意味があり
価値がある。
今朝の呟き。