2月3日にオハイオ州パレステインで貨物列車の脱線事故が起きた。
パレステインはペンシルベニア州ピッツバーグからおよそ50マイル北上したところにあり人口は約4,700人。
問題の貨物列車は全部で150の貨車からなり、そのうちの38貨車が脱線し、その38貨車の脱線により、さらに12貨車がダメージを受けた。つまり全部で50貨車に影響が出たことになる。
問題は、この脱線車のうちの11貨車が危険な化学物質を積んでいたことだ。
そのうちの5貨車が塩化ビニルを積んでおり、残りはアクリ酸ブチルなどを積んでおり、そのため炎上を起こしその煙と共に危険な化学物質が空気中に飛ばされた。
これらの化学物質は生物に悪影響を及ぼすことで知られているが、それが空気中に蔓延したことで、住民は避難を余儀なくされた。
住人の健康への被害は、今の所、頭痛、呼吸困難、吐き気、発疹、めまいなどが報告されているが、具体的なリスクについてはまだわかっていない。
問題は、どのくらいの量の化学物質が実際に環境にばら撒かれたかが不明瞭であり、またこれらの化学物資を測定することも困難であることだ。
大気汚染
現在の大気状態が救急病院に足を運ぶ原因にはならないとは言われているが、保健当局によれば、すでに大気汚染物質が有害レベルに達しているらしい。ただ大気圏は広いので、それが広がって濃度が薄くなることを期待しているということだった。
しかしこれらの化学物質は’永遠に消えない化学物質’と呼ばれ、何世代にもわたって残る可能性もある。
さらに他の問題点もある。
それは大気質を測定するセンサーが繊細な部分まで測定できないことにある。このセンサーは工場からの漏れなどを確定するには十分でも、大気中に広がった化学物質の量を測定するには十分ではないのだ。これが問題なのだ。それはどんなに小さな量でも生物の健康に影響を及ぼすからである。
さらに問題なのは、どの程度の化学物質への暴露が長期的に見た安全レベルなのか科学者が把握していないことにある。
実際、これらの物質は十分な試験も行われていない。環境庁は後により詳しいデータをリリースすると発表している。
水質
水質に対するより信頼できる情報は入手可能となった。
大気に比べて井戸や河川中の化学物質を抽出することは保険当局により容易に可能で、すでに水質の検査はされており安全であるという結果が出ている。
飲み水も安全であると発表された。
だが、それと同時にアクリル酸ブチルが雨によりオハイオ川に流出したという発表もあった。試験結果によるとアクリル酸ブチルはまだ十分に薄められてなく人の健康に危険なレベルには達していないということだった。
しかし、井戸水の検査はまだ終了していないため、住民は井戸水ではなく市販のボトル水を飲むようにと勧められている。ただこの問題が野生動物にどのような影響を及ぼすかはわかっていない。実際、事故即後に約3,500匹の魚の死が確認されていることから水質に問題が出ていることは明らかである。
ちなみに、大気汚染及び土壌汚染による動物への影響もあると通報があった。
鳥やウサギなどの急な死も確認されている。ペットがずっと吐き気をもようしているケースもある。
専門家によると、当局は人間に悪影響のある化学物質への包括的試験を実施しないかもしれないと懸念している。
「当局による試験実施予定の化学物質が、実際に出た化学物質と比べて、どれに値するかが不明瞭である。事故で車両から漏れた化学物資のみでなく、炎上から発生した物資も心配の要因なのだ。」とパーヅユー大学の環境エンジニアであるアンドリュー・ウェルトン氏も言及していた。
現在、事故の後始末をしている最中だが、それで終わりというわけではない。
科学者自身も具体的にどのような影響があるかをしっかりとは把握していないことから、
住民がもっとも恐れていることは長期間にわたる影響だ。
そして当然、地価が下がることも含まれるだろう。
もしも故郷が住めないような場所になったら、どうなるのか、と不安は消えない。
当然、こういう事故は事故であって故意的なものではない。
だから仕方がないと言えばそういうことになる。
それでも住民の立場からしたらやるせない気持ちになるのは十分理解できるというものだ。
ちなみに、事故地は自分が’住んでいる地域から162マイル南下する場所にあり、車で2時間45分のところだ。
これはアメリカの地図で見るとかなり近いが、実際は結構遠い。
だからこの事故の影響がここまで届くかはわからないが、川も空も繋がっているから全く影響がないとは断言できない。
そこが懸念する点でもある。
参考文献
コメント
文明の発展に伴い、先端科学技術が常にアップデートされ、より多くの便利なものが次々の発明されてきた。それは人間の生活をより快適に及び容易にさせてくれるものだった。
しかし、やはりそこにはリスクが伴う。
そのリスクをわかっていての発明品なのだ。
産業界はそのリスクを少しは理解しているはず。
しかし・・・やはり自分の健康と自分の住んでいる地域に影響がなければ良い、というようなメンタリティーが抜けていないように感じている。
いかに便利なものを安く消費者に届けるか・・・それには危険を覚悟で臨んているのだろうか。
それとも・・・臭いものには蓋を閉めろ!みたいなメンタリティーか・・・・?😓
リスクを避けるのが賢いやり方だけど・・・リスクとは完全には避けられないものなのかもしれない。
結局、この地球は生物が永遠に生き続けないようにできているように思う。
そのため危険なものがそこらじゅうにあるのだ。
それを避けながらなるべく健康で長生きしていきたいと思うのが普通なのだが、
避けられない時も結構ある。
そんな風に感じる。